エアリーガーゼの生地に一目ぼれした私たちはその日興奮気味で帰宅しました。

後日あらためて生地を購入、試作に取り掛かったのですが、ところがこれが、一筋縄ではいかなかったのです。

「画一的な多重ではない独特な風合いを出すため、幾重も失敗を重ねていく中で製織技術を高めてきました。

それは本物を生み出すため少しでも多くの方に喜んでもらうために。

多重織りは、表面層と中間層をあえて異なる密度にすることで多くの特徴を出します。

織り方のみならず、糸の太さや機能性を追求しオリジナルな生地が出来上がります。」(株式会社イチオリ ガーゼのしおり より)

そう、中間層の一本一本の糸を絶妙に設計して織られたエアリーガーゼは、密度を極限まで抑えることで抜群の通気性を生み出しているのです。

これを裁断したら…

当時自宅で作業していた妹は、家中糸まみれと化し、旦那さんや子供たちまで、そこかしこに糸が付着することに。

そして縫製。

片手にコロコロ粘着シートを持ちながらの作業となりました。

普通に縫っただけでは縫い目からほろほろとほつれてきてしまいます。

そういえばイチオリさん、自分たちは裁縫はできないからって笑いながら言ってたような。

確かに服とか縫製の複雑なものは自社で作ってないよね…。

私たちの行く末に暗雲が立ち込めたのでした。(続く)